このページは 鳶巣コミセン便りに掲載された、島根県立大学の渡邉先生の記事です。 第478号(令和6年2月26日) 二刀流 ~アフターコロナにおける地区防災~ 私たちは「感染症対策」と「地域社会活動」の2つをどう両立させるかという「二 刀流」の生活をコロナ禍で経験し、日々奮闘してきました。緊急事態宣言下では、在宅勤務者が大勢いました。平日昼間の在宅勤務者は地域防災の担い手であり、手薄になりがちな災害時の共助が強化され、災害時要支援者の逃げ遅れを減らすことができると考えた時期もありました。 しかし、5類移行後は、従前の勤務形態に戻り、地域防災の担い手と考えていた在宅勤務者がいなくなってしまいました。 一方、5類移行後も続いているのは避難所の混雑緩和や感染拡大防止に一定の効果が期待できる「分散避難」の考え方です。ホテルへの分散避難に補助を出す自治体もありますが、自力移動ができるなど避難の選択肢がある人に限られています。選択肢がなく身動きが取れない人は、危ない自宅に取り残されたままになります。分散避難する場合も、共助によって丁寧に見守られた避難の仕方を目指すべきだと思います。 私たちは、感染対策と社会活動の「二刀流」の生活で知恵を積み重ねてきました。今後もこのノウハウを活用した「二刀流」で、地域防災について考えていきたいと思います。2年間、ありがとうございました。 (島根県立大学出雲キャンパス・なべっかむ) 第477号(令和6年1月25日) DMAT(ディーマット:災害派遣医療チーム)へのあこがれ 防災コーナー担当の県立大学の渡邉です。今回は、私が災害医療に足を突っ込む きっかけとなったDMATについてのお話です。 DMATは「災害発生後48時間以内に迅速に活動でき、災害医療のトレーニングを受けた医療チーム」のことで、医師や看護師、救急救命士や薬剤師などの医療従事者5名程度で構成されています。 災害が発生した被災県からの要請があるとDMAT隊員として現地に向かい、災害医療・救急医療に従事するスペシャリスト集団です。 日本にDMATが発足したのは、1995年の阪神・淡路大震災がきっかけです。この時、災害医療・救急医療が機能していれば救命できたとされる「避けられた災害死者」は約500名と言われています。震災から10年後の2005年、災害時に1人でも多くの命を助けるために、厚生労働省によって日本DMATが発足し、発足年度にDMAT隊員となりました。 初めての出動要請は、2011年の東日本大震災でした。2016年の熊本地震では、震度4の余震が続く中で400隊を超えるDMAT隊員と共に活動しました。避難所の診療支援を行なう中で、被災者の生の声を聴き、今の防災・減災活動に繋がる貴重な経験を得ました。将来DMAT隊員になりたいという看護学生は毎年数名います。“夢は叶う!”と、今年も背中を押して送り出します。 第476号(令和5年12月25日) 冬将軍の由来 ~あれ・これ~ 天気予報などで用いられる「冬将軍の到来」は、「厳しい寒さがやって来る」という意味で使われます。由来には諸説ありますが、一つには、古代中国の書物『史記』に「北冥有魚、其名為鯤(北冥に魚あり、其の名を鯤(コン)と為す)~」で始まる一節に由来します。 北方の海に空想上の巨大魚が存在し、その魚が冬になると巨大な鳥に化け、飛び立つときに翼は天空に届き、強烈な寒波や寒気をもたらすことから「冬将軍」という表現が生まれたという説です(出典:荘子)。 また、18世紀~19世紀初頭、ナポレオンのロシア遠征での出来事から生まれた説もあります。ナポレオン率いるフランス軍は、1812年に大軍を率いてロシア侵攻を試みました。しかし、冷酷な寒波の中、ロシア軍に食料や補給物資を破壊され、寒さと飢えに苦しむフランス軍は、過酷な冬の条件下(冬将軍)で大きな損害を被り大敗しました。 「冬将軍」には諸説ありますが、寒さや厳しい天候には、前もって対策を講じることが重要です。北山から吹き降ろす寒風や西風には、厚手のコートや手袋・マフラー・帽子などの防寒対策をとって低体温症を予防しましょう。また、暖房器具を適切に使用し、火気の取り扱いと健康に留意して、健やかに新年をお迎えください。 (なべっかむ) 第475号(令和5年11月24日) 観天望気(かんてんぼうき) パートⅡ 昆虫や鳥の様子、夕日の見え方などを参考に天候を予測することがあります。昔から言い伝えられている気象にまつわることわざを「観天望気」といいます。 科学的に根拠のないものもありますが、「電車の音がよく聞こえるから、雨が降る」という話には根拠があります。遠くを走る電車の音が、とてもよく聞こえるのは、音の屈折によるものです。音は気温の高い方から低い方へと屈折して伝わる性質を持っています。 晴れの日は地表に近いほど気温が高く、上空ほど気温は低くなっていくため、地表付近の音は上空に向かって曲げられ、遠くまで伝わりにくいのです。一方、低気圧が近づいて雲の上の方に暖かい空気がやってくると、上空に向かった音が地表に戻ってくることがあり、普段は聞こえない遠くの音が聞こえるというわけです。 現代は、雲の動きや雨の予報などの情報がいつでも手に入りますが、スマートフォンを持っていない時には役に立つ情報かもしれません。 みなさんが知っている観天望気にはどんなものがありますか? 「弥山さんに笠雲がかかると雨が降る?」もしその現象が現れたら、その後の天気に注目してみてください。それが本当かどうか、なぜそうなるのか、調べてみるのも面白いかもしれません。 (なべっかむ) 第474号(令和5年10月25日) ご存知ですか? クラッシュ症候群(圧挫症候群) 聞きなれない言葉ですが、クラッシュ症候群は誰でも遭遇する可能性があります。地震などで倒壊した建物やタンスの下敷きになった場合などに発生することが多く、死亡率が高いのが特徴です。 その歴史は古く、1909年のイタリア・メッシーナ地震を契機に報告されています。世界で最初に報告したのは、ドイツで戦傷者の腎不全に関する研究をおこなっていた日本人の皆見省吾医師でした。阪神淡路大震災でも、クラッシュ症候群の死者が多く発生したため、広く知られるようになりました。 身体の一部が長時間挟まれていた場合、その圧迫を解除した途端に、筋肉内に溜まった毒性の高い物質が血液中に流れ出し、不整脈やショックを引き起こす可能性があります。 長時間とは一般的に4時間以上を指すことが多く、そのような被災者に遭遇した場合は、圧迫されていた物をすぐに解除せず、救急隊や自衛隊など専門機関に救助を依頼して待ちましょう。 救助がくるまでは、そばに寄り添い、意識がしっかりしている場合は、水分補給や保温などを行うことが有効です。挟まれていた時間が1時間程度の場合は深刻な問題が発生する可能性は低いですが、筋肉量の多い若い男性は、2時間程度でも生命に危険を及ぼしかねません。 (なべっかむ) 第473号(令和5年9月25日) 地震の震度とマグニチュード 地震の大きさは、「揺れの大きさ」を表す「震度」と「地震の規模」を表す「マグニチュード」の2つの表し方があります。 「震度」は日本独自のもので、「マグニチュード」は世界共通です。 地面の中で地震が発生し、その波が地表に伝わった時に私たちは揺れを感じます。 同じ地震でも、震源からの距離や地盤の揺れやすさなどで、揺れの大きさ(震度)は変わってきます。震度は0から7までの数字で表し、震度5と6は強・弱の2つに分かれていて合計で10段階あります。 マグニチュードは、一つの地震に対して一つの数字しかありません。震源から出るエネルギーが大きい地震ほど数字が大きくなります。具体的には、ある地震に比べてマグニチュードが0.2大きい地震は約2倍、1.0大きい地震は約32倍、2.0大きくなると約1000倍になると言われています。つまり、マグニチュード7.0の地震は、マグニチュード5.0の地震の1000倍のエネルギーを持つことになります。 マグニチュード7.0以上の大地震は、2023年だけでトルコやインドネシアなど全世界で16回も発生しています。地震大国の日本にお住いのみなさん、あなたの大切な「家」の耐震強度、耐震補強などの対策は大丈夫ですか?今一度、確認してみてください。 (なべっかむ) 第472号(令和5年8月25日) 用水路や河川への転落にご用心 大雨によって河川が増水し、用水路や河川に人や車が転落する事故は豪雨災害のたびに報告されています。転落には2つの要因があります。まずは、道路の冠水によって用水路や河川との境界が分かりにくくなっていることです。 対向車を避けすぎて転落する場合もあります。次に、道路があると思い込んで進んだことによる転落です。境界を示すポールや標識が無い場所が多いため、目測で進むことで転落につながります。用水路や河川に転落すると、流れが速い場合は容易に脱出することができません。 また、車のドアは水圧によって開けにくくなるため、ドアを開けて脱出することは極めて難しくなります。 警察庁生活安全局生活安全企画課の「令和4年における水難の概況」によると、全国の水難発生件数のうち、「移動中・通行中」の死者・行方不明者は全体の5%前後で推移しており、近年その割合は変わりません。増水した河川の近くは、道路が浸食されて転落や落水の危険が高まっています。 また、冠水した道路は車両がスタックしてしまうリスクもあるため、過信して通行しないようにしましょう。最初から危険な行動を起こさないことで転落やスタックを回避することができます。(なべっかむ) ※スタック…埋まること 第471号(令和5年7月25日) 線状降水帯 雲が列をなし数時間に渡ってほぼ同じ場所を通過または停滞し、局地的な集中豪雨の原因となっているのが線状降水帯です。 雲の長さは200 kmを超えるももあり、最大幅は50 kmにもおよびます。 同じ場所に停滞し続けると1年分の降水量に匹敵する量が降るなど、極端な集中豪雨をもたらし、災害を引き起こす原因にもなります。 線状降水帯という用語は、2014年8月の広島市の土砂災害以降に頻繁に用いられるようになりましたが、台風以外の過去の豪雨災害では、約6割に線状降水帯が関係していることが気象庁の分析で明らかになっています。 こうしたことから、線状降水帯の自動検知システムが開発され、本年5月から線状降水帯による具体的な雨域を伝える予測情報の提供が開始されました。 現在は30分前の直前の予測ですが2026年には2~3時間前の予測情報を提供することを目標としています。さらに、2029年には半日前からの予測情報の提供を目標としており、危険度分布の形式で市町村単位での危険度が把握できるようになります。 半日前の予測精度が上がれば、安全な場所への移動に時間的な余裕や人的被害の減少、学校の休校判断に活用できるなど、ソフト面の整備は着々と整いつつあります。(なべっかむ) 第470号(令和5年6月26日) 災害時の子供の遊び環境 ② 避難所の環境は、子供たちの生活だけでなく、遊びにも大きな影響を与えます。 ある時は「緊急地震速報の音」をマネしたり、「津波が来たぞ」と積み木を崩したりして、災害時の様子を遊びとして表現することがあります。これらの遊びは、抱えている不安や恐怖心を遊びとして表現し、それらを克服しようとする行動と考えられます。 この場合、止めさせようとはせず、その遊びを受容して、見守ることが大切です。「津波が来るぞ、早く逃げろ!」と言ったら一緒に逃げて「ここまで逃げられたからもう安心だね」と伝え、「地震だ!」と言ってブロックで作った建物を壊してしまった時は「今度は頑丈な家を作ろうね!」と、もう一度ブロックで建物を作り一緒に遊ぶことで子供たちは安心します。 しかし、ごっこ遊びが子供たちの心に良いからと、無理に勧めてはいけません。津波ごっこや地震ごっこを見て、不安そうにしている子どもがいれば、その場から距離を取ります。遊びの中で大事なのは、子供たちの心身の安全を確保することです。不安や恐怖心が強い場合は、専門家の対応が必要となることもありますので慎重に対応し、子供たちが災害の恐怖を乗り越えられるよう支援していくことが大切です。(なべっかむ) 第469号(令和5年5月25日) 災害時の子供の遊び環境 ① 5月5日の「こどもの日」に、石川県能登地方で最大震度6強の地震が発生しました。その後も余震が続き、各地で家屋の倒壊や損壊などの被害が報告されています。避難所は珠洲市などに多く設置され、子供たちも避難をしている様子が報じられていました。一日も早い復興を心より願っています。 子供たちは、不慣れでストレスのかかる避難所生活が続くと、心的外傷後のストレス反応として、夜泣きや不眠、おねしょなど、普段はみられない反応がみられることがあります。そのような子供たちの一番のストレス発散方法は、「遊び」や「運動」です。避難所で遊ぶなんて不謹慎だという声も聞かれますが、避難所での遊びは見直されてきており、避難所近くの広場に遊び場を作って遊びを提供するボランティア活動も増えてきています。 しかし、おもちゃの提供や遊び場の設置は、災害の規模や避難所の環境によって難しい場合もあるため、トランプや塗り絵、折り紙やぬいぐるみなど、狭い空間でも遊べるおもちゃを「非常持出袋」の中に入れておくことをお勧めします。非日常的な空間に日常を取り戻すことができ、これらの工夫で子どもたちに安心感を与えることができます。(なべっかむ) 第468号(令和5年4月25日) 人命救助における72時間の壁 トルコ・シリア大地震の発生から9日後、がれきの中から母子ら5人が救出された報道に驚いた方も多いと思います。「72時間以上経過すると生存の可能性が極端に低くなる」など、まるで72時間が生死を分けるタイムリミットのように報じられることがありますが、なぜだかご存じでしょうか。それは、阪神・淡路大震災で3日目にあたる72時間以降、救出率や生存率が著しく下がったというデータが根拠とされています。72時間を過ぎても条件によって生存できる場合もあれば、72時間未満でも亡くなる場合もあります。 今回のケースでは、以下のようないくつもの好条件が重なり、瓦礫の中からの生還に繋がったのではないかと考えます。 ①一定の空間があり、体が挟まれていなかった ②雨水から水分を得ることができた ③気温が低く、エネルギーの消費が抑えられた ④お互いに励まし合える環境下にあった 等比叡山延暦寺には、9日間の断食・断水・断眠でお経を唱える荒行があり、満行した僧侶は戦後12人もおられるそうですが、水さえ飲むことができれば、飲まず食わずの10倍は生きられるとも言われています。救助が来るまで生き延びるためにも、「水」の備蓄は重要ですね。 (なべっかむ) 第 467 号 (令和5年3月27日) 原子力防災 その② 安定ヨウ素剤 【安定ヨウ素剤について】 ★主成分は昆布だしなどに含まれる成分 ★安全性が高くアレルギー反応が生じる可能性は非常に低い ★甲状腺ホルモンの分泌に影響する可能性も非常に低い ★妊婦・授乳婦・子どもは、指示に従い服用する必要性が高い 万が一、原子力災害が発生した場合は、目に見えない放射性物質により、体表面や体の内部が被ばくを受ける可能性があります。空気と一緒に「放射性ヨウ素」を口から吸い込んだ場合、血液を介して放射性ヨウ素を集積しやすい「甲状腺」が内部被ばくを受けます。 この内部被ばくを予防、または低減するための対策としての服用が推奨されています。この薬剤は、県や市の指示に基づき、避難等に合わせてタイミングよく服用する必要があります。 鳶巣地区は、島根原子力発電所からおよそ25kmで、半径30km圏内(UPZ)のため、安定ヨウ素剤の事前配布対象地区です。安定ヨウ素剤の配布を受けるためには、事前配布の申請が必要です。 医学的に安定ヨウ素剤を服用する必要性が低いとされる40才以上の方でも、希望される場合は事前配布を受けることができます。 令和5年度の事前配布日程と配布場所は、4月以降に県と出雲市で協議し、広報いずもで通知されます。 (なべっかむ) 第 466 号 (令和5年2月24日) 原子力防災その①「鳶巣地区は“UPZ圏内”」 ◇顔や手を洗い、うがいをする。 ◇外で着ていた衣服は脱いでビニール袋などに入れる。 ◇ペットも家の中に入れて、扉や窓はきちんと閉める。 ◇エアコンは使用可能ですが、外気の侵入を防ぐために換気扇は止める。 ◇テレビやラジオから情報収集をし、次の行動に備える。 原子力災害は、放射性物質の放出による被ばくの危険性が あります。そのため、原子力規制委員会が定める指針により、 原子力発電所からの距離による予防的避難の基準が定められています。鳶巣地区は、島根原子力発電所からの距離がおよそ25kmのため、どのような避難をしなければならないか、知っておく必要があります。 原子力発電所から概ね半径5km圏内の区域(PAZ)では、避難指示が出された場合、放射性物質の放出前に、原則として自家用車で避難をすることが求められています。概ね半径30km圏内の区域(UPZ)では、自宅や職場、最寄りの公共施設等の建物の中に速やかに避難する「屋内退避」が基本となっています。屋内に退避することにより、放射性物質や放射線の影響を低減することができますが、退避(避難)後にも注意しなければならない点があるので確認しておきましょう。 (なべっかむ) 第 465 号 (令和5年1月23日) 災害級の積雪時は車の立ち往生にご注意! 雪も降りすぎると思わぬ災害を招きます。大雪は生活機能を大きく混乱させるため、普段よりも時間に余裕をもった行動や、事前の対策を取っておくことが大事です。スコップなどの除雪道具、滑りにくい靴などを備えておきましょう。また、雪の重みで電線が切れた時に備え、懐中電灯や携帯電話用バッテリーなど停電時の対策も必要です。 強烈な寒気により警報級の大雪となる場合は幹線道路でも立ち往生が起き、身動きが取れなくなります。車の中に防寒着・毛布・非常食・飲料・携帯電話の充電器・除雪用のスコップなどを積んでおくと安心です。エンジンが切れると車内が一気に冷えるため、ガソリンなどの燃料は降雪の前に満タンにしておくと良いでしょう。マフラーの排気口が雪で塞がれてしまうと、排気ガスが車内に流入する可能性があります。 一酸化炭素は無色・無臭のため気づきにくく、中毒になるととても危険です。排気口の周りはこまめに除雪するようにしましょう。大雪警報や暴風雪警報が発表されている時は、事故に繋がる危険性が一段と高くなるので、不要不急の外出を避け、救援を呼ぶ場合は「道路緊急ダイヤル(#9910)」や「JAF(#8139)」に連絡をしましょう。 (なべっかむ) 第 464 号 (令和4年12月23日) 災害用伝言ダイヤル「171(いない)」 地震など大災害発生時は、安否確認や問合せが増えて、電話がつながりにくくなります。「災害用伝言ダイヤル」は、災害時に利用可能な伝言サービスです。 市外局番無しの「171」をダイヤルし、被災地の方の電話番号や携帯電話番号などをキーとして、安否情報などを音声で録音したり再生したりできるボイスメールです。東日本大震災では約15万件の利用がありました。 あなたが被災地にいる家族や友人に伝えたいこと、知りたい情報は何ですか?伝言は最大10件まで録音ができますが、1件の録音時間は30秒と非常に短いため、伝えたいことを整理してから通話するとよいでしょう。 11件目を録音すると1件目が消去される仕組みです。伝言は災害用伝言ダイヤルセンターで中継されるので、停電や被災により自宅の固定電話が使えない場合でも、携帯電話や公衆電話があれば、安否情報を伝えること、また確認することができます。利用料は無料ですが、固定電話回線以外の電話から発信する場合は、通話料が発生する場合があります。 毎月1日と15日、1月1日の正午~1月3日の23時は「171」を体験できる期間です。家族と一緒に体験してみましょう!(なべっかむ) 詳しい利用方法はこちら ⇒ https://www.ntt-west.co.jp/dengon/ 第 463 号 (令和4年11月25日) コロナ禍における非常持ち出し物品 近年は、自助・共助・公助の防災意識に変化がみられ、「自助」を重視するようになりました。「自助」とは、他の力に依存せず自力で事をなすことです。特にコロナ禍では、自分や家族が必要な避難時の持ち出し品を確認して、災害に備えておきましょう。 自宅が安全な場合は、慌てて避難所に行く必要はありませんが、避難する時に備えて、非常時に持ち出すべきものをリュックサックなどに詰め、持ち出せるようにしておきましょう。新型コロナウイルスや冬季に流行するインフルエンザの対策として、自分のサイズに合った不織布のマスク、手指消毒用のウェットティッシュやアルコールなどを準備しておくことも重要です。避難所では自分のサイズに合わないものや、必要な分量が配布されないことも想定されます。常用薬やお薬手帳、眼鏡(老眼鏡)やコンタクトレンズの洗浄液などは慌てていると忘れがちです。また、乳児や高齢者がいる家庭では、粉ミルクやおむつ、義歯や補聴器など必要な物が増えます。 自分にとって「ないと困る物」をリストアップしてメモに書き、非常持ち出し袋に貼り付けるなど、「自助」の意識を高めていきましょう。 (なべっかむ) 第 462 号 (令和4年10月25日) 「福祉避難所」ってどんな場所? 【QRコード:市指定福祉避難所一覧】 災害対策基本法による避難所の1つで、一般の避難所では生活に支障のある高齢者・障がい者・乳幼児・妊婦など特に配慮を必要とする方とその家族を受け入れる避難所です。耐震構造で土砂災害警戒区域になく、物資の保管場所を有し、ベッド・障がい者用トイレ・スロープなどの施設基準を満たす施設を、自治体等が指定したり協定を結んだりして確保しています。そのため、デイサービスセンターなどの福祉施設が指定されることが多いのが特徴です。 2007年の能登半島地震や新潟県中越沖地震で開設された福祉避難所では、避難した高齢者や乳児に看護職や介護職が対応して、避難後の病状悪化予防などに効果を発揮しました。 出雲市は2022年10月現在、老人ホームやデイサービスセンターなど35箇所を福祉避難所に指定していますが、いままで福祉避難所が開設されたことはありません。 昨年5月に、災害対策基本法の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」が改正され、福祉避難所への直接避難が可能になりました。要配慮者が日頃から利用している施設への直接避難を促進する動きがある中、受け入れ体制が整っていない現状があり、対応が急がれます。 (なべっかむ) 第 461 号 (令和4年9月26日) 「秋の台風」あなどるなかれ! 気象庁の統計データによると、10月の台風は8月・9月の約半数に減少します。しかし、油断できないのが10月台風の特徴です。秋の台風は、速度を速めながら日本付近に近づくことが多く、秋雨前線の活動を強めて暴風雨をもたらします。 最近では2019年に東海と関東、甲信越、東北地方を襲った台風19号、2018年に千葉県広域に塩害をもたらした台風24号など、激甚災害に指定された台風もあります。 台風の勢いは、「大型で非常に強い」のように、大きさと強さで表現されますが、注意を促す目安で分かり易いのは「風速」です。風速20m/s以上になると高齢者では転倒の危険性が高まり、看板などの飛来物による負傷の恐れもあります。 風雨が強くなる前の早めの避難、もしくは、自宅が安全な場合には、防風対策をして屋内で過ごすようにしましょう。 (なべっかむ) 第 460 号 (令和4年8月25日) 逃げ遅れの原因となる「正常性バイアス」 私たちには、予期しない事態に直面した際に、先入観や思い込みが働き、今回の事態は「正常な範囲内である」と自動的に考える心の仕組みがあります。 新型コロナウイルス感染症が大流行しても「自分には被害(感染)が及ばないだろう」という考えが働くことも「正常性バイアス」が働いていると言います。 日常生活上の様々な不安や心配事などに、あえて反応しないことで、「正常な範囲に納まっていると認識する」心の安定機能によって、私たちの精神の安寧が保たれているという一面もあります。 しかし、正常性バイアスが災害時に機能した場合は、危険性を認識しようとしない意識が無意識に働き、逃げ遅れたり危険に巻き込まれたりする場合があります。 「自分は大丈夫」「この程度なら問題ない」といった過小評価につながり、被害の拡大を招く結果となります。 今年7月19日の豪雨では、土砂災害警戒区域がある市内14地区に「避難指示」が発令され、避難所が開設されました。このような時、どうすればよいのでしょうか。考え方のひとつとして、非常時には「正常性バイアス」が働くものだ!ということを意識することが大切です。これによって、多くの場合、冷静に行動することができるのです。 (なべっかむ) 第 459 号 (令和4年7月25日) 「キキクル」を利用した攻めの防災 キキクルは、土砂災害・浸水害・洪水害等の危険度を地図上にリアルタイムに表示することができるシステムです。スマートフォンでQRコードを読むだけで簡単に表示されます。 大雨による土砂災害発生の危険度の高まりなどを、地図上で1km四方ごとに5段階の色分けで確認することができます。 図は、昨年7月7日4時半時点の出雲市北部の「土砂災害危険度」の画像です。 土砂災害警戒区域等にお住まいの方は、可能な限り早めの避難を心がけていただき、高齢者等の方は「警戒」(赤色:警報基準に達すると予想)が発表された時点で速やかに危険な場所からの避難を開始しましょう。 一般の方は「非常に危険」(うす紫色:土砂災害警戒情報基準に達すると予想)が発表された時点で避難を開始し、「極めて危険」(濃い紫色)に変わるまでに避難を完了しておく必要があります。「極めて危険」(濃い紫色)になってからの避難は、避難自体が命を落とす行動になりかねません。早めの避難を心がけましょう。 (なべっかむ) 第 458 号 (令和4年6月24日) 「秋の台風」あなどるなかれ! 出水期を迎えるにあたり、直ぐに持ち出すことができるものが準備してなければなりません。避難所の支援体制が整うまでには、時間がかかる場合があります。 避難行動の支障とならない必要最低限のものをまとめておき、家の中のすぐに取り出せるところに保管しておきましょう。 また、家族で一年に一度の点検日を決めておき、期限切れになっている物は交換し、たらないものは補充しましょう。 (なべっかむ) 第 457 号 (令和4年5月25日) マイ・タイムライン:「私の防災行動計画」 先日、鳶ヶ巣城跡へ上がりました。北山を背に、逆L字に曲がる斐伊川を眺めながら、山崩れと河川の氾濫の2つのリスクに、自助と共助でどう対峙していくのかを考えてみました。 みなさん、マイ・タイムラインをご存知ですか? これは、「いつ」「何をするのか」を整理した一人ひとりの「防災行動計画」です。平成27年の関東・東北豪雨では、避難の遅れや避難者の孤立が問題となり、その後、国土交通省などが主導してマイ・タイムラインが開発されました。 あらかじめ防災行動を取りまとめておくことで、急な判断が迫られる災害時に、自分自身の行動のチェックリスト、また判断のサポートツールとして役立てることができます。警報レベルがいくつになったら避難準備を始めるか、何を持って避難するか、どのタイミングで、どのルートを通ってどこに避難するのが良いかを、家族やご近所と一緒に考えて計画を立てることが大切です。雨の多くなる季節を前に、あなた自身のマイ・タイムラインを作成してみませんか! (なべっかむ) <簡単なマイ・タイムラインの作成手順> ①洪水ハザードマップで、自宅の浸水リスクを知る。 ②取るべき防災行動を、警報レベルに沿って整理する。 第 456 号 (令和4年4月25日) 観天望気(かんてんぼうき) 【写真:ヘルペスト体という器官をもつキジ】 「ツバメが低く飛ぶと雨が降る」「クモが高い所に巣をかけると洪水」「カメムシが多いと大雪」など、天気予報が無い時代に、人々は生き物の様子などから天候や天災を予測していました。 これを「観天望気」と言い、昔の人々は耕作や漁の際にこうした現象を参考にして暮らしていたのです。 その他にも「キジが鳴くと地震が起きる」というものがあります。キジの足裏には、震動を敏感に感じ取るヘルベスト体という器官があります。この優れた感覚細胞は人が感じ取ることができない地震の震動を感知できると言われています。我々には、生き物のような備えができているのでしょうか。 地震には、初期微動のP波と主要動のS波があり、P波を捉える機械はすでに開発されています。本震が来る前にエレベーターを最寄り階に停止させる装置が代表的です。 このように、災害に対しては、科学的な力である程度の予知ができるようになってきました。その予知のもとに備えをしておく、これが生き抜く力になります。 動物から進化した科学的な知能を活かしながら、我々は自然災害から生き延びていく必要があります。生き物たちの行動に目を向け、災害への備えを確認してみるものよいでしょう。(なべっかむ) 第 455 号 (令和4年3月30日) 「天災は忘れた頃にやって来る」 寺田寅彦の言葉から 【写真:寺田寅彦】 防災コーナーを担当する島根県立大学の渡邉です。大学では「災害看護」の授業科目を担当し、学生サークル「災害研究会」の顧問をしております。 鳶巣地区の皆様方のお役に立てる情報や話題をご提供いたします。よろしくお願い致します。 さて、「天災は忘れた頃にやって来る」という名言があります。これは、物理学者である寺田寅彦(1878年~1935年)の災害警句として長年引用されてきた有名な言葉です。天災はめったに起こらないという常識を疑い、忘れた頃に天災は起こるという警告を発した名言ですが、実は、門下生の中谷宇吉郎(1900年〜1962年)が、1955年に随筆「天災は忘れた頃来る」の中で、寺田の言葉として紹介して以降、方々で引用されたものです。 寺田は、常識にとらわれず多くの人に影響を与えた学者で、物事の本質を突く名言も多く、「国家を脅かす敵として、天災ほど恐ろしい敵はないはずである」など、災害に関連した言葉も多数残しています。しかし、2004年と2007年に新潟県中越地方で地震が続いて以降、「天災は忘れないうちにやって来る」と揶揄されるようになりました。天災は正しく怖れ、日頃から十分な備えを心掛けていきましょう。(なべっかむ)〈出典:寺田寅彦全集より〉